エッセイ

2/16〜2/28までに読んだ本

これを書いている今、実は3月2日で、日付を改ざんしているわけですが、もし私がこの日記の日付を「2009-02-29」などとしたらどうなってしまうのだろう。存在しない2009年の日。なんか「2009-02-31」みたいないくらなんでもそりゃあないだろって感じではなく…

2/1〜2/15までに読んだ本

前回の日記でさらっと「引越しに向けての準備」と書いた。そう、春からひとり暮らしをすることにしました。なかなかに反対や懐疑の声もあったのだけれど、弟が来年から高校生になるとか脱パラサイトのタイミング的にはいまがよさそうとか、そういうのもあっ…

1/16〜1/31までに読んだ本

ちょこちょこと平行読みしているものがあって読了に至らず、というのばかりで、記録としては実に乏しいものになってしまった。もっとも、コミックでは欲しいものがいくつかあるにもかかわらず、金銭的に先送りしているというのもあるので、どーんと増えても…

1/1〜1/15までに読んだ本

「マンガ家マンガ」好きとしては嬉しい『バクマン。』1巻の発売でしたが、期待通りの面白い展開に熱くなりました。ジャンプマンガらしい努力と友情っぷりに加え、主人公たちの成長物語という「王道」も踏んでいます。2巻が楽しみ。 庄司薫を読んだすぐあと…

12/15〜12/31までに読んだ本

新カテゴリーに「アート」を追加。 何というか身も蓋もない分け方ではあるけれど、あれこれと考えるのも面倒だし、大雑把でいいや、みたいな感じ。 今回のイチオシはkiki『あたし彼女』と甘詰留太『ナナとカオル』1巻。 『あたし彼女』はジェネレーターなん…

12/1〜12/14までに読んだ本

マンガ家のマンガが好きだ。 日本橋ヨヲコ『G戦場ヘヴンズドア』しかり、福満しげゆき『僕の小規模な生活』しかり、魔神ぐりこ『楽屋裏』しかり、ゴージャス宝田『キャノン先生トばしすぎ』しかり。わくわくして読んでしまう。小説では一時期、というか今で…

9/28〜11/30までに読んだ本

恒例!読書記録! 何が恒例で誰に向けての恒例なのかわかりませんが、いいんです。ダイエットブログみたいなものです。いや、ダイエットブログは、がんばっている人やこれからはじめようとする人には有益なことも多いのだろうけれど、読書記録は読者に対して…

穂村弘『もしもし、運命の人ですか。』

歌人である穂村弘が『ダ・ヴィンチ』に連載したエッセイをまとめた一冊。穂村弘の名前は、ちょっと自信がないのだけれど、大塚英志の著作(たぶん『キャラクター小説の作り方』)で見たことがあり、覚えていた。この本をたまたま手に取ったのは、これはもう…

東浩紀『動物化するポストモダン』

東浩紀関連の著作はいつくか読んだことがあったのだが、この記念碑的な、代表的な作品をそういえば読んだことがなかった。自分でも不思議なことだと思う。買ってあって目に見えるところに積んであったのに。 80年代、90年代以降のオタクたちの歴史と歩み…

8/22〜9/18までに読んだ本

なぜ読書記録をつけるのか、と考えると、「資料的価値」があるからだろう。それが必要なのは何も研究対象になるような人物だけではない。他人も、また自分も、どのような本を読み歩いてきたのかをたどると、考え方の根っこのようなものが少しでもわかるので…

小西康陽・常盤響『いつもレコードのことばかり考えている人のために。』

両氏のファンであるため、ネットで一目見たときから気になっていた。どちらも無類のレコードコレクターということは、知っていた。特に常盤響さんは、実は、お会いしたことがある。ご自宅に上がらせていただき、そこで実際にコレクションの一部を見たことが…

太宰治『もの思う葦』

太宰に関する原稿を書かねばならなくなり、ちらちらと作品を読んでいる。『もの思う葦』はエッセイであって評論でもある。評論の対象が、人生であったり作家そのものであったりするのだが、随所に太宰がどのような思考やスタンスを持っていたがにじみ出てい…

三田誠広『天気の好い日は小説を書こう』

芥川賞作家の三田誠広が、早稲田大学で「小説創作」演習を行った際の講義録。初版が1994年でもう14年も前だけれど、講義の内容を「古い」とは感じなかった。あぁ、そう、たしかに言われてみれば……ということで、つまり小説という表現形態が、ある程度の閉塞…

08.6/1〜08.7/29の読書記録

あやふやな記憶を頼りに、この2ヶ月で読んだものを列挙。 ■小説 舞城王太郎『イキルキス』(『群像』08年7月号) 川上未映子『乳と卵』 東浩紀『ファントム、クォンタム』(『新潮』08年5月号、8月号) 多和田葉子『容疑者の夜行列車』 多和田葉子『ヒナギ…

4 シェアードワールドとしての作品作り

それでは「名無しの才能」たちに対して、一次創作者たち(転じて、プロの創作者たち)はどのようにアプローチしていくべきなのかを考えてみたい。 結論からいえば、「名無しの才能」に対しては無関心でいることが一番なのではないかと思う。 テレビアニメ『…

3 連鎖する才能

初音ミクと異なる方向で、ニコニコ動画のコミュニケーション力を推察することができる。それは、作品の連鎖があるということだ。 『魔理沙は大変なものを盗んでいきました』という楽曲がある。イオシスという同人音楽サークルが製作した『東方乙女囃子』に収…

2 作品を介在させたコミュニケーション

哲学者・批評家の東浩紀は二〇〇七年の著書『ゲーム的リアリズムの誕生』において、出版やラジオやテレビとインターネットの成長の仕方に違いがあると述べている。前者は、近代社会では大きな物語を大画面で画一的に伝達することを必要とし、その要請に応え…

1 「名無しの才能」にまずなってみる

数ヶ月前になるが、ニコニコ動画とクリエイターの関係についての論考を、某文芸誌に本名で寄稿したところ掲載された。 タイトルは『シェアードワールドの高等遊民』という。 せっかくなので、時機を逸する前にネットでも配信しておきたいと思う。ネットに関…

『コンテンツの思想』、『電波大戦』

評論なり対談集なり、そういうものをどうカテゴリー分けするかで悩むのだが、あんまり細分化するのもいやだなぁという思いから「エッセイ」タグでまとめてしまっている。辞書を引くと「ある特定の問題について論じた文。小論。論説。」という意味もあるので…

『小説の設計図』『オタクはすでに死んでいる』

さらさらとやるつもりが、意外にしっかり書きすぎているせいで結構な時間を使ってしまっている。 ■前田塁『小説の設計図』 佐々木敦『絶対安全文芸批評』以来、こういう批評や評論を読むのが苦でなくなってきたのもあって、最近評判がよく名前も売れており、…

『礼儀作法入門』、『文士の酒、編集者の酒』……他。

しばらく読書日記を書いていなかったら、そこそこ溜まっていたのでまとめ書き。 ■山口瞳『礼儀作法入門』 「社会人初心者に贈りたい人生の副読本」と裏表紙の照会文にあるように、山口瞳という作家が自らの体験と経験から導き出した礼儀作法……いやこれは処世…

第二次惑星開発委員会『PLANETS Vol.4』

評論家の宇野常寛が主催する第二次惑星開発委員会の発行するミニコミ誌『PLANETS Vol.4』を読んだ。巻頭の東浩紀×宇野常寛の対談に興味が沸き、読んでみた。タイトルが『東浩紀の功罪』なのだが、うーむ、功罪というのは違うのではないか。私は誰かがあるテ…

椎名誠『全日本食えばわかる図鑑』

遠藤哲夫『汁かけめし快食學』 の中で参照されている書籍が気になり、メモって細々と探している。大学近くの古本屋で椎名誠『全日本食えばわかる図鑑』を見つけた。椎名誠は名前だけ知っていたが、うーん、こんなに面白いとは。肩の力が抜けた面白い文章って…

遠藤哲夫『汁かけめし快食學』

叶姉妹のような得体の知れない生活をしていない限り、おそらく誰もが一度は食したことがあるだろう。 味噌汁かけご飯。 前の日につくった味噌汁を温めなおし、保温してあって少し水分を失ったご飯にザバッとかけ、ざくざくかき込むアレである。そんな味噌汁…

佐々木敦『絶対安全文芸批評』

「文芸批評家」でない「文芸を批評する人」佐々木敦による初の文芸批評集。 「文学」という世界を「外側」から批評するから「絶対安全」なのだ。今までは「文芸プロパー」の内側でのみ行われていたせいで、摩擦や干渉や自主規制があった批評という行為を、内…

阿川弘之『食味風々録』

以前、とある編集者が「いい作家はいい食事をしている。いい食事をしなければ、いい文章はやっぱり書けない」という旨のことをおっしゃっていた。それ以来、「食事」と「文章」についての関係性に興味が湧いた。そのようなマイブームもあって手に取ったのが…

吉行淳之介 編『酒中日記』

『小説現代』の名物コーナーを吉行淳之介が収録・再編集した一冊。私が読んだのは中公文庫版。 目次を見て驚くが、昭和を彩る作家が大勢! 吉行淳之介、北杜夫、開高健、遠藤周作、阿川弘之、瀬戸内晴美、水上勉、山口瞳、丸谷才一、色川武大、田辺聖子……な…