携帯よ、いずこ。




携帯を紛失しました。例の如く、酔って、寝過ごして、気づいたらなかったという。もちろん電車は終電で、降りたったところはとんでもないところでした。東京で言うと、新宿あたりで飲んでいたのに起きたら河口湖だった、みたいな。すみません、さすがにそれは言い過ぎました。せめて高尾か青梅か。白状しますと、赤羽で飲んでいたのに起きたら大船でした。横浜越えてやがる。


以前も寝過ごして蒲田で絶望感を味わいましたが、それ以上でした。何しろ携帯がない、家は遠すぎる、翌日は休みだからまだよかったものの、早朝6時に集合する予定がある。そのための道具はなにひとつない。買えるところもない。しかも集合するメンバーの連絡先は携帯電話しか知らない。現代の弊害です。最も、そこから電報も伝書鳩も飛ばせないのですからそんなこと考えても意味はないのです。しかして時間だけは刻々と過ぎていく。


いろいろ考えました。久しぶりに、数十分、大船のネットカフェで液晶ディスプレイをにらみつけました。いまあるお金、これから入るお金、出て行きそうなお金、要はお金のことばかりですが、もちろん約束を無断で反故にしてしまう影響も考えました。というよりそれが何より大きかった。なぜなら、ドッジボールの試合で茨城へ行くので、車に同乗させてもらう約束だったからなのです。


今後のため、勉強のため、社会経験、とか何とか言い聞かせて、タクシーで帰りました。過去最高金額と過去最長の移動を味わいました。もういっそ楽しかったです。運転手さんが新潟から出てきて20年くらい経つそうなのに、神奈川からほとんどタクシーで出たことないせいか「ごめん私あんまり道に詳しくなくてねーお恥ずかしい」と即行暴露してくれたおかげで、マジでハラハラした帰り道でした。


私も適当に「とりあえず海岸線に乗って錦糸町を目指してくれ」などと言ったせいで、概算よりも料金がかかってしまいました。情報弱者、いやいや、経験不足はこういうときに痛い目を見るのです。教訓、教訓。


で、これを書いている今も携帯電話は見つかっていません。警察にも知らせたし、回線も止めてはいるのですけれど。今まで使っていた携帯を一時的に復活させようかと思い立ったのですが、その携帯がどこにあるかがわからない。実家か、いや持ってきたのか……ううむ。弱った。新しいのを買ってしまうべきか、悩んでいる私なのです。