読書

『小説の設計図』『オタクはすでに死んでいる』

さらさらとやるつもりが、意外にしっかり書きすぎているせいで結構な時間を使ってしまっている。 ■前田塁『小説の設計図』 佐々木敦『絶対安全文芸批評』以来、こういう批評や評論を読むのが苦でなくなってきたのもあって、最近評判がよく名前も売れており、…

『ゴールデンスランバー』、『水没ピアノ』……他。

小説やエッセイは4月10日から、マンガは3月10日から読了したものを書く。 数がそれなりにあるので、ほとんど覚書のようになる。やはり、こういうものは少しずつ消化しなくてはいけない。という戒めを私はいつまで重ね続けるのだろう。うーん。 ■伊坂幸…

『礼儀作法入門』、『文士の酒、編集者の酒』……他。

しばらく読書日記を書いていなかったら、そこそこ溜まっていたのでまとめ書き。 ■山口瞳『礼儀作法入門』 「社会人初心者に贈りたい人生の副読本」と裏表紙の照会文にあるように、山口瞳という作家が自らの体験と経験から導き出した礼儀作法……いやこれは処世…

清水マリコ『侵略する少女と嘘の庭』

疑いなくライトノベルとして傑作と豪語してよいと私は思うのだけれど、どうだろう。 そんな清水マリコ「嘘シリーズ」第3作目は、シリーズとしてのつながりは無視してこの巻から読んでも全く問題ないので(以前に出てきたキャラクターが少し登場する程度)、…

中村九郎『樹海人魚』

私は最近どうにも、ライトノベルというジャンルに固執している。自分がエンターテイメント志向であることは自覚しているつもりだが、とりわけこのジャンルがなぜ気にかかっているのかと考えたら、これは明白で、様々な人の反応が気になって仕方ないからであ…

第二次惑星開発委員会『PLANETS Vol.4』

評論家の宇野常寛が主催する第二次惑星開発委員会の発行するミニコミ誌『PLANETS Vol.4』を読んだ。巻頭の東浩紀×宇野常寛の対談に興味が沸き、読んでみた。タイトルが『東浩紀の功罪』なのだが、うーむ、功罪というのは違うのではないか。私は誰かがあるテ…

椎名誠『全日本食えばわかる図鑑』

遠藤哲夫『汁かけめし快食學』 の中で参照されている書籍が気になり、メモって細々と探している。大学近くの古本屋で椎名誠『全日本食えばわかる図鑑』を見つけた。椎名誠は名前だけ知っていたが、うーん、こんなに面白いとは。肩の力が抜けた面白い文章って…

遠藤哲夫『汁かけめし快食學』

叶姉妹のような得体の知れない生活をしていない限り、おそらく誰もが一度は食したことがあるだろう。 味噌汁かけご飯。 前の日につくった味噌汁を温めなおし、保温してあって少し水分を失ったご飯にザバッとかけ、ざくざくかき込むアレである。そんな味噌汁…

『3月のライオン』、『ニコイチ』……他。

某出版社のESが祈られたので、腹いせに日記を書く。 ちくしょー。もう二度とファミ通なんて買ってあげないんだから! 読了マンガが貯まっていたので、覚書みたいな感じでつらつらと。 ■羽海野チカ『3月のライオン』(1) 『ハチミツとクローバー』から羽…

佐々木敦『絶対安全文芸批評』

「文芸批評家」でない「文芸を批評する人」佐々木敦による初の文芸批評集。 「文学」という世界を「外側」から批評するから「絶対安全」なのだ。今までは「文芸プロパー」の内側でのみ行われていたせいで、摩擦や干渉や自主規制があった批評という行為を、内…

阿川弘之『食味風々録』

以前、とある編集者が「いい作家はいい食事をしている。いい食事をしなければ、いい文章はやっぱり書けない」という旨のことをおっしゃっていた。それ以来、「食事」と「文章」についての関係性に興味が湧いた。そのようなマイブームもあって手に取ったのが…

上遠野浩平『ブギーポップは笑わない』

『ライトノベルを書く!』(小学館)で「現在のライトノベルの方向性を決定づけた作品であり、とにかく読んでおいてほしい一冊」と評されたのが『ブギーポップは笑わない』だ。 小説を書こうとするのなら、必ず読んでおきなさいという作品がある。夏目漱石だ…

田中ロミオ『人類は衰退しました』(2)

あとがきで「ページが足らなくなった」というロミオ先生に萌えた。 (思い違いでなければ)1巻では「金太郎飴式に本できるじゃん」的なことを書いていた割に、ちゃんともりもり書いたんだな、と。 2部構成に大きく分けられる本作だが、はじめの「計量スプ…

伊達一行『0回帰線』

1ヶ月ほど前に書き上げた小説を先生に見せたところ、参考になるだろうということで貸していただいた一冊。 抑制の利いた文章だが、難解な言い回しや比喩も多く(私の趣味からいえば甚だ重くるしい)読むのに多少の時間は費やしたが、自らが書いたものの底の…

山花典之『オレンジ屋根の小さな家』(8)

山花典之はあとがきで『サザエさん』に敬意を表し、ファミリーマンガを描きたいという欲求が強いと書いている。以前の巻でも同様に書いていたことがあったので、その思いはよほどの強さであったのだろう。 第38話以降(5巻以降)のナッチが好きとも書いてい…

吉行淳之介 編『酒中日記』

『小説現代』の名物コーナーを吉行淳之介が収録・再編集した一冊。私が読んだのは中公文庫版。 目次を見て驚くが、昭和を彩る作家が大勢! 吉行淳之介、北杜夫、開高健、遠藤周作、阿川弘之、瀬戸内晴美、水上勉、山口瞳、丸谷才一、色川武大、田辺聖子……な…

『COMIC快楽天』2008年3月号

出版社などの採用アンケートに出てくる項目に「定期的に買っている雑誌はありますか?」などという質問が出てくるが、私はいつも答えられずに迷う。あるにはあるが、さすがに「エロマンガ雑誌の『快楽天』と『失楽天』と『ホットミルク』です」というのは、…

真鍋昌平『闇金ウシジマくん』(9)

サラリーマン編に突入したわけですがね。 ……就職活動中にこのストーリーはしんどいな(´・ω・`) 今日、会社説明会だったんですよ! しかも、やっべーこの会社すげーいい!がんばろう! なんて思っちゃってた矢先なんですよ!勘弁してくださいよ!──俺の人生…

将吉『コスチューム!』

第3回ボイルドエッグズ新人賞受賞作。 なんで家にあったのかイマイチ覚えていないのだけど、未読だったので読んでみた。 風呂でぼんやり読むにはいい感じだったのもあって。 コスプレイヤーの女の子を主人公に置き、ネットのアクセス稼ぎやらロフトプラスワ…

桑島由一『神様家族Z』

ライトノベルを中心に活動する桑島由一の代表作にして出世作『神様家族』の続編。 出る出ると言われながら出なかっただけに、ファンとしては待ち望んでおりました。 うーん。テンコってこんなに言語崩壊起こしてたっけ? なんかもう少ししっかりしたキャラク…