真鍋昌平『闇金ウシジマくん』(9)




サラリーマン編に突入したわけですがね。
……就職活動中にこのストーリーはしんどいな(´・ω・`)


今日、会社説明会だったんですよ!
しかも、やっべーこの会社すげーいい!がんばろう!
なんて思っちゃってた矢先なんですよ!勘弁してくださいよ!

──俺の人生はいったいなんなんだろう?
病院に行って医療機器を必死に売ってる、
しがないサラリーマン。
俺自身、会社に大切な時間を売っている。
毎日悩んで迷って、少しずつ磨り減って、
もう二度とない、かけがいのない人生を売っている。
(P111-112)


──「考えてみればずっと何かを買うために働いてきた。(中略)もったいないコトをしてきた。もう少し考えていたらもっとマシな生き方を選べたんじゃないか?」
「俺だって毎日の生活に追われてヘトヘトで、何も考えられないよ。家でテレビを見るのがやっとだよ」
「自分が心の底から何が欲しいのかを探すための大切な時間を、くだらない消費の喜びで使い倒した」
(P193-194)


こんな会話……これから勤め人になろうとしてるときに読んだらいかんな。
他にも特売の低脂肪乳選んでみたり、売り地に棒でマイホームの見取り図を描いみたり……あぁダメだ、何かを抜粋して書こうと思ってページを開くたびに気持ちが沈んでいってしまう!(笑)
ただ不思議なのが、今までのストーリーと違って、核となる主人公の小堀が実は優秀で、金銭感覚もしっかりしているってところなんだよなぁ。これ、どうなるんだろう。ダメ友達の板橋に引きずり込まれていくんだろうか。そっちのが怖いわ!


あと、帯の「サラリーマン絶望農場。」ってコピーはどうかと!
もはや人間様以下ですね!家畜ですね!バカ野郎笑えねーよ!!
ウシジマくんは、現代における悪趣味な標本作製者のようなものだ。
その種を観察したり、留めておくためには便利な標本。気持ち悪いし、よっぽど好きでないなら、なるべくなら見たくない。でも見ておくと自分の知識や経験にはなるから、なんとなく見ずにはいられない。その「なんとなく」には人間の「自分は大丈夫」みたいな類の平和ボケやら根拠不明の自信やらが渦巻いている。次は自分がその標本になり得るという危険性を誰もが秘めているにも関わらず。標本なのだから、一度捕まればもう羽ばたけないし、羽ばたかない。金というエサでぶすぶすと安全ピンを刺すウシジマくんは、でもわずかに急所を外していたりする。そこに、ドラマがあって、ストーリーがある。そんなイメージですね。



会社説明会で普段行かないようなでっかいホテル行ったもんだから興奮して無駄に中庭見たり掛かってる絵画に目を奪われたり、たっくさんのリクルートスーツに包まれた女子たちを見ながらあぁあの娘カワイイのーなんてのほほん思っていたりしてたよ俺って!あ、でもなんか、それはそれで平和な気も致しますね。まぁ、それはいいか。



あー、やっぱり『闇金ウシジマくん』読んで凹んだ後は『よつばと!』読んで中和するに限るわ。さいごはこのたまごをのせる!わかっぱー!!