柴田ヨクサル『ハチワンダイバー』(8)




巻を増すごとに受け師さんのおっぱいが肥大化しているのだが、気のせいか?
帯のドラマ版広告の仲里依紗も見事なので、まったくおっぱいおっぱいしい(そんな形容詞があるかどうかは別として)表紙になっている。仲里依紗、かわいいなぁ。最近の三次元的ヒットであります。


極太・超大フォントでガンガン魅せる展開は変わらず。むしろ加速。この8巻、命の懸かったマムシ戦ということもあってか、いつもより紙面が熱い。「将棋の駒がどうやって進むか」しか知らない私でも──いやそれさえ知っていれば十分なのかもしれない──触れたら火傷しそうな真剣勝負を味わうことができる。小説よりも急速に、映画よりも内的に、心を揺さぶられる瞬間がこの巻にはある。



「弱い人間は弱い場所で暮らせばいい」
「上で戦うには 夢を見たいなら 才能 努力 なんでもいい とにかく 実際 テメェの体の中にハッキリ 実力<ちから>が必要なんだ」


この澄野のセリフは名言に入るだろう。完璧なる決め台詞。分野は問わないと澄野も言っているが、全くその通りだ。上流・中流下流と私たちの生活様式もランク分けされてしまったけれど、それらは外的な問題で、内的な問題はもうずっと変わっていないのだ。私は「若い人には無限の才能があるんだから」とか「まだ若いんだから何でもできるって」という言葉は信じていない。


人生はゴールの決まったレースをどう進むか選択する、ということなんじゃないかと思っている。ただ誰もゴールが見えていない。もしくは見ていないふりをしている。選択を誤れば最良のゴールには到達しない。だからこそ、自らゴールを設定して逆算して考える。私が父親から教わった生き方だ。「無限の才能」にも「リスタートが利く人生」にも頼るのではなく、率先して自分で終点を決める。現実可能な道を歩く。そのためには澄野が言うように実力が必要なのだ。



「将棋のほうが 何倍も 痛い!!!!」


健太郎のこのセリフも震えた。アイラブ将棋の発露。これが純愛というものだ。