『さくらんぼシンドローム』、『くらしのいずみ』……他。




柴田ヨクサルハチワンダイバー』(7)
7巻から買いはじめた。いつかは1〜6巻も買おう……とこんな風に思ったマンガは『ハチミツとクローバー』以来。しかし『ハチクロ』に至っても未だに8巻より前を持っていないのであった。大人になったら買う!
ますますの特大フォントと大胆なコマ割りで見せる読ませる唸らせる。将棋クエスト編の「投了図!!!!」や「たたみ込まれるっ」あたりは震えた。そしてこれは友人が言っていたことだけれど「だんだん喩え方やらが『カイジ』に似てきた」気がする。なるほど。
命令されて顔を赤らめる受け師さんによからぬ妄想をしたのは秘密だ。


北崎拓さくらんぼシンドローム』(7)
今風の言葉を使えば、麻生さんの「ツンデレ」具合により磨きがかかった。磨きがかかるというより、いわゆる「ツンデレ」の良さみたいなものを垣間見た。北崎拓が意識してやったかどうかは別としても、このキャラクターは時代的にも迎合されるだろう。個人的にはその後にお風呂で云々も、恥ずかしさを覚えるよりはいっそ清清しかった。麻生さんのこのオンオフの差にときめく。
自己愛という言葉を麻生さんはたびたび用いるのだが、たしかに恋愛は自己愛との折り合いのつけ方によるのかもしれない。それを踏まえてのれなのくだりがあるわけだが、結局のところその折り合いがつけられない(呪縛から解かれない)まま、彼女は選択を誤り(修正できるだけの余地余裕が無く)れなはかえって自らを攻めてしまう結果となった。「私もう19歳で」と言うシーンは、阿川や麻生との年齢と経験の差をいっそう引き立たせたにすぎず、空しく響いただけのようにも思える。恋愛を扱ったマンガでありながら、アイデンティティーの問題にもどんどん踏み込むあたりが、凡百の恋愛マンガと一線を介す理由なのかもしれない。


谷川史子くらしのいずみ
吉祥寺某所の古本屋で、100円商品3冊で200円、というコーナーがあった。その、3冊目。ぱらっとめくったときに絵柄が好みだったに過ぎないのだが、これがすこぶる大当たり。6話それぞれに異なる夫婦やカップルが出てくるオムニバスもの(あとがきには「夫婦ものしばり」というテーマがあったと記している)。
私が好きなのは3軒目『高橋家』から4軒目『矢野家』の流れだろう。こういう構造や話の持って行き方が私は大好きなのである。たとえマンガでも、人生は地続きであって誰かと誰かのストーリーが絡み合うことは容易にあるものだ、というようなことを感じさせてくれるのがたまらないのだ。それから6軒目『冬木家』の奥様も、少女マンガじみている展開とはいえ、最後の言葉が胸に残るいいものだったので大好きな話になった。
最近少女マンガを読まねばならぬ、と考えているところだったので、これを機に谷川史子の他作品を攻めていってみようと思う。


宇仁田ゆみ『祝!できちゃった結婚
コミックエッセイ。文章は高清水美音子氏が担当しているので、宇仁田ゆみらしさというのは弱く、それを期待して読むと少々残念な結果となる。だが、内容はできちゃった結婚にまつわるあらゆることを抑えているので、実用書として、またそれに類する入門書としての役目は十分に果たしているだろう。
それにしても宇仁田ゆみの描くマンガは、一コマ一コマが単体のイラストでも通用するかのような、キャッチーさに満ち溢れている。すでに名の売れた宇仁田ゆみの役目ではないだろうけれど、女性誌育児雑誌などの挿絵師になったら一時代を築けてしまいそうな気さえする。今度は宇仁田ゆみのマンガを読もう。『うさぎドロップ』よかったもんなぁ。