かんぽの宿 徳島




貧乏旅をしていると、食事や酒はもちろんのこと、風呂に入りたい欲求というのが強くなる。
臭っては周りの人に悪い、と私などは考えてしまうのだ。
風呂に入れば、ついでに簡単な(ご迷惑にならない程度の)洗濯もできる。タオルなどは使い回すので、やはり洗いたい。
もちろん疲れてもいるから、体に染み着いた疲労をさっぱり流したい!というのも理由のひとつ。

そんなことを思いながら歩いていると、目に飛び込んできた「かんぽの宿 徳島」の文字。
たしか安く宿泊できる公共の宿というやつだよなぁと、なんとなしに携帯で検索してみると、大浴場を400円で使えるという。
加えて、眉山の頂上にありロケーションも抜群。肌もつるつるになる素晴らしい温泉らしい。
早速行ってみることにした。

歩き始めて気づいた。
山の……頂上?
なるほど、ずっと登り坂のはずだ。気づくのが遅すぎ、目の前には「かんぽの宿 徳島 4.5km」の看板。もう1キロは登ってきたあたりにあった。ここで引き返せばよかったのだが、頭の中には素晴らしい大浴場で悠々と四肢を広げる自分がいた。
気合いと情熱で、結局1時間かけ、登頂した。
温泉の効果などは絶大で今はうきうきなのだけれど、これから下り坂とはいえ5キロ近く歩かなくてはならないと考えると、いささか気が滅入る。

私は毎日何キロ歩いているのだろう……。