スターツアーズ、カリブの海賊、江古田のガールズ




12日、江古田ストアハウスで劇団・江古田のガールズ旗揚げ公演『江古田のガールズ』を見た。


主宰者の山崎洋平曰く、「遊園地を楽しんでいる感じ」=「アトラクション」という新ジャンルの開拓・提供を目指す、との企みがあっての旗揚げ公演だったが、その名に恥じぬ見事なアトラクションぶりだった。初演ということで出演者に固さも見られたが、それを補う構成力を感じた。


キャバレー「黒い劇場」リニューアルオープンの1時間半前が舞台。劇場の女主人兼歌手の三軒茶屋ミワの前座として呼ばれた女性3人組ユニット「江古田のガールズ」を次々にトラブルが襲う。メインボーカルの失踪、残されたメンバーの仲たがい、ストーカー疑惑を持つ男の登場……様々な事件を抱えながら、江古田のガールズたちは本番の舞台へと向かう。


公演がはじまってすぐ、前座の男が幕の前に立ち、客の前で口上を述べる。「これから皆さんがご覧になるのは舞台裏という名の舞台です……覚悟はいいですか?」といった煽りの後、幕が開いて約1時間半には、実際に江古田のガールズが舞台に立って歌と踊りを見せる。観客を巻き込みながらのリアルタイムな演出は、ディズニーランドのアトラクションを思わせる妙な既視感がある。鑑賞しているというよりは体感しているという言葉が似合う気がする。


脚本でいえば、わかりにくい設定や蛇足な部分、少し喜劇的過ぎるきらい(お笑いライブのような勢いばかりの力任せな笑い)もあったけれど、野心と努力を感じる面白い舞台だった。日本大学芸術学部の学生を主体とした学生演劇だが、学生演劇だからこそのパワーにも満ちていた。


今日は千秋楽で、この日記を書いている頃は、打ち上げの真っ最中だろう。様々な反省点や本音をぶつけ合い、次回作につなげてほしい。また江古田のガールズというアトラクションを体感できるのが楽しみだ。