生物と無生物とホッテントリメーカーのあいだ




http://pha22.net/hotentry/というサイト(というよりサービス?システム?)があるのを知った。
ご存知ですか。ご存知、ないのですか。


>ブログのエントリのタイトルを考えるのが苦手な人のために、
ホッテントリ(Hot Entry)になりそうなエントリ名を生成するよー


ということで、自分がこれから書こうとしているブログの「タイトルだけ」を、キーワードを元に自動生成してくれるのだ。しかもキャッチーに。たしかにブログを書くとき、タイトルは頭を悩ませる。どれほどいいことを書いても、タイトルがつまらなければユーザーの反応は悪いというのは定説になっている。


ホッテントリにある種の法則性を見つけ、じゃあ自動生成してそれっぽく体裁整えてあげるから、その代わりに中は頑張んなよ、というである。ちなみに今回のタイトルも、ホッテントリメーカーでつくったもの。


それで思ったのが、これを用いれば「アドリブ筆記」という試みが可能になるのではないか、ということ。タイトルは記事の象徴であるのが望ましいとされる。つまり記事の方向性を決めてしまうわけだ。「アドリブ筆記」ではそれを生かし、キーワードを自分で設定し、ホッテントリメーカーが導き出したタイトルに沿うような記事を書く。最初からどういった内容を書くかを決め、タイトルに困るのでホッテントリメーカーを頼るのではなく、内容でさえもホッテントリメーカーの方向性を組む。名づけて「アドリブログ」。どうでしょう。

これのいいところは、自分でも考えつかなかった(考えが及ばなかった)ことを、考えられることにある。意識外のところから投げかけられるクエスチョンにどれだけ対応し、応答できるか、自分自身のせめぎ合いを楽しむことができる。新しい観点からものごとを見ることができるという点で、なかなか面白いと思うのだけれど。


似たようなことを伊集院光が著書『のはなし』でやっていて、あれはもともとが携帯配信のメルマガか何かで、毎回のお題に困るので思いついた単語を読者に送ってもらい、それについて書く、ということだった。「アドリブログ」をさらに面白くするためには、タイトルに用いるキーワードでさえも、自動生成されるとよい。自分が興味関心のあるジャンルや事象をあらかじめ登録しておき、それに関連するような単語をインターネットから引っ張ってきて、キーワードにしてしまう。完全に自分の意識の外から投げかけられる質問に答える、あるいはでっち上げる、というアドリブ力がこれでかなり鍛えられるような気がする。

無生物(=インターネットのシステム)の指示によって意味づけが成されたテーマを、人間(=生物)が思考してアウトプットするという作業には、どこか未来的な遊戯感が漂う。その仲介としてホッテントリメーカーがあるのであれば、まさにホッテントリメーカーは「生物と無生物のあいだ」の存在となる──と、こういうのがアドリブログである。こんなこと考えたこともなかった。

アドリブログが流行るかはわからないが、やってみる価値はあるかもしれないとも思う。どうしようもないタイトルに頭を悩ませる日が近くあることを期待して、今日は筆を置く。