『SEX and the CITY』(池袋シネマサンシャイン)




20時の回に行った。レイトショーだと通常1500円のチケットが1200円になるのでオススメ。と、一言マメ知識。浮いたお金でポップコーンが買えますね。


ドラマ版終了後から4年後、という設定でのこの度の映画化。もちろんドラマ版を見てから行くと楽しみが増すのは言うまでもないのだけれど、未見の同伴者(女性)曰く「知らなかったけど、とっても面白かった!」とのこと。ただひとつ問題があるすれば「外国人の名前って覚えにくい」のだ。これは私も納得。ドラマ版を見ているときには、数話観てもサマンサとミランダを間違えたり、スタンフォードという名前がいつまでも覚えられなかったりした。なのでドラマ版を未見で観に行く場合は、公式サイトなり何なりで登場人物の設定はもちろん、顔と名前を一致させる努力をしてから行くのがよいと思う。


映画の冒頭にこんなセリフがあった。


──「毎年、20代の女性たちがふたつの“L”を求めてニューヨークにやってくる。“Label”(肩書き)と“Love”(愛)だ。」


SEX and the CITY』に出てくる登場人物たちは、このふたつのLをめぐって、ドラマ版94話を費やし、それでもまだ映画版で追求を続けていった。結果的に、それぞれがそれぞれの“Love”に出会うことができた。しかしそこでまた、新たな障害とぶつかる。“Lover”(恋人)の問題だ。ある者の恋人はセックスの不満から浮気をしてしまうし、またある者は結婚式をスポイルしてしまう。宗教、結婚観、恋愛遍歴、セックス、離婚暦、その他諸々……当人は“Love”を獲得したつもりでも、そこに付随する問題を今度は抱えなくてはならなくなる。彼女たちはふたつの“L”を求め、ふたつの“L”を得て、みっつの“L”を抱えることになるのだ。


この映画はみっつの“L”を抱えた女性たちが主役となる。ドラマ版でのある面での破天荒な部分は潜まり、とても現実的な、地に足の着いたストーリーになっていたように思う。終盤に近づくにつれて、彼女たちは気づいて行くのかもしれない。世の中には様々な人がいて、また自分もその中のひとりであり、“Lover”もまたそのひとりである、と。


──「“Label”で人を見るのは、もうやめよう」


キャリーが最後に語るこの言葉には、長い年月を経て彼女が獲得した重さがある。その重さを、ドラマ版と映画版と、合わせて鑑賞し観察できたことは、とても面白いものだったように思う。みっつの“L”を抱え、そこから自分にとって必要なものを選び、守り、手をつなぐことは、生きている限り必ず捨てることのできない最後の“L”=“Life”とどう付き合うかなのだ、というメッセージを、私は感じた。


館内は女性が多く、男性は観に行きにくい雰囲気を感じるかもしれないが、これをアラフォーやアラサー世代の女性たちのためだけにしておくのはもったいない。間違いなくDVD化もされるであろうから、ぜひ観てみたらいかが、と思う。出てくる男性たちがなかなか素敵な人ばかりで、参考になることも多いだろう。1クールで次々と新作を打ち続けるだけの日本のテレビドラマが失いつつある面白さを、この素敵な女性たちが赤裸々に見せてくれるはずだ。