浅草「紙ふうせん」




朝からワインを飲み、ほろ酔いになりながら彼女と浅草へ。三社祭開催中で、とんでもない賑わいであった。神輿が揺れると人々も揺れる。熱気ある素晴らしい光景。そんな中、人ごみをくぐり、雷門すぐそばの「紙ふうせん」へ赴いた。
ここへ来たのは、某雑誌の焼きそば特集で紹介されていたからであった。おいしい焼きそばが食べたい。その一心だった。ラーメンやうどん、パスタという麺類がメジャーになる一方、同じ麺類でも私は焼きそばにはそれほど注目していなかった。その雑誌の特集を読みながら「なぜだ?」という思いが膨らみ、それならば食べてみればいいじゃないか、というか、食べなくてどうする!と思ったのだった。
まだ12時を過ぎるか過ぎないかというところだったが、私は遠慮なくアサヒビールのハーフ&ハーフ(スーパードライと黒生)
をジョッキでいただいた。つまみはまず、モチチーズもんじゃ735円。もんじゃでわいわいやりつつ飲むビールは至福の味。三社祭の賑わいを胃の中で再現しているかのような嬉しさに、顔もほころぶ。うひゃひゃ。
もんじゃのあと、今回のお目当てである焼きそばに移った。豚肉やきそば785円を注文(ついでにビールのおかわりも)。運ばれてきた皿には、麺の上にキャベツ、もやし、たまねぎと野菜が乗り、その上にスライスした豚肉がある。ソースと水(麺をほぐす用)が別につき、鉄板で自分で焼くスタイルのようだ。作り手の技術が必要になるという点では、やや不安はあったものの、四の五の言わずに果敢に挑戦。なかなか成功……おそらく。嗅ぐだけでビールが飲めてしまえるほどのソースのいい香り。食べれば、麺がもちもちと食感がよく、濃いめのソースと絡まって実にうまい。あっという間に食べきったが、どうも、彼女も私も「もっと食べたい」という表情が隠せない。追加で豚キムチ焼きそば890円を注文した。こちらは豚肉焼きそばの基本セットにプラスして刻んだ白菜キムチがついている。コクのあるピリ辛味は、おそらくキムチの辛さだけではなく、ソースもどうやら違うようだ。後味最高な一品だった。ビールも恐ろしく進み、もう一杯飲むか本気で悩んでしまった。
店員の方へおいしかったことを伝え、麺のことを尋ねると「麺はワンタンの皮をつくっているところで云々」ということで、もちもちの食感はそこに秘密があるようだ。
店を出るとすぐに三社祭の賑わいに触れることができた。晴天の浅草で、私は焼きそばのおいしさを再認識し、ビールによって気持ちよく酔い、好きな人と「おいしかったねー」などと言い合える、という素晴らしき休日を噛み締めたのであった。