秋葉原「キングケバブ・アキバ」




昼過ぎに彼女と待ち合わせ。すでに空腹。
雑誌『dancyu』2008年6月号を読んだ影響で、どうしてもメンチカツでビールが飲みたかった私のたっての希望で、コンビニでサッポロ「ビバライフ」500ml缶を買い、揚々とりんごコロッケで有名な「肉の鈴鹿」を目指して歩き出す。神田明神下の交差点に着くが、見当たらない。携帯電話で調べ直してみると、なんと土日祝日定休日。なんてこった。
がっかりしたのもつかの間、空腹に加えて、私はビールぐびぐび飲みたい熱が高まってしまった。その熱を持て余したまま、今度は彼女の希望でモスバーガーを食べようということになり、末広町方面へ向けて歩き出した。
裏通りに入った途端、彼女が言った。
「やっぱりケバブ食べたい!」
「え、モスバーガーは?」
「いや、ケバブにしよう」
こういう気分任せの選択は嫌いじゃない。先日、ケバブを食べてその重量感とパワーに魅了された。そのときの美味しい記憶が蘇ってきた。これならビールにも合いそうだ。文句など出るはずがない。そして、「キングケバブ・アキバ」の前でオーダーをすることになったわけである。
私はビーフケバブ+ホットソースLサイズ600円。
彼女はチキンケバブ+マイルドソースMサイズ500円。
外国人のお兄さんが、気持ちのいい動作と笑顔でケバブサンドを差し出してくれる。ソースを注ぐとき、逆手でソースポッドを持ち上げてかけるパフォーマンスもキマっていた。ふたりして、お兄さんのファンになった。
すぐ裏の芳林公園へ移動して、「ビバライフ」のプルトップを開け、いそいそとかぶりついた。ピタパンの中にローストした薄切り牛肉、キャベツ、トマトが詰まっている。かぶりつけば、たっぷり入ったビーフの濃い味を、ビリッと辛いソースが後押ししてくれる。そこへキャベツのざくざくした触感が加わり、とてもうまい。やはりケチらずに発泡酒でなくてビールを買うべきだったか、と少し後悔したが、食べ進めるとそんな気持ちはどこへやら。笑顔でいっぱいになってしまった。
彼女のチキンケバブは、ビーフよりもサッパリした印象を受ける。噛むとじわっとくる鶏肉の旨味と、ほんのり辛いソースが合って、これもうまい。願わくばキャベツを少なめにして、トマトをもっとドサドサと入れたらさらにうまいかもしれない。トッピングで「トマト増し」があれば頼みたいところだが、残念ながらないようだ。
下手にハンバーガーなどを食べるよりも、このケバブサンドひとつで予想以上の満足感と満腹感を得ることができてしまう。時間を有効に、ときには無駄に、回りたい店を気ままに回る秋葉原住民の強い味方として、やはりケバブサンドは欠かすことができない存在にこれからもなるだろう。お兄さんたち、頑張ってください。また食べます。