『テレクラキャノンボール2009 賞品はまり子*Gカップ』(DVD)




ひと言で表すなら「下品で野蛮な水曜どうでしょう」みたいな!


AV業界のオトコ5人が、自慢の愛車で東京から福岡までを駆け抜ける。その道中、名古屋・福岡で素人ナンパを慣行し、そのセックスによってポイントが加算されていく。勝者は昨年のAVグランプリで一躍脚光を浴びた“最強の素人”まり子*Gカップを17時間ハメ放題!

企画もひどければ賞品もひどい。でもここには、オトコの戦いがあった。意地と意地のぶつかり合いがあった。ポイントをゲットするために手段を選ばぬオトコたちの、醜くも生々しい欲望があった。


ただ東京から北海道までを原付で縦断する『水曜どうでしょう』が、なぜあれほど面白いのかといえば、そこにはあのチーム内にしかないオトコくささと馬鹿馬鹿しさがあるからだろう。「なぜこんなことをしているのか?」と出演者も視聴者も思いながら、それでもその空気に付き合い、一緒になって楽しむ。しかしテレクラキャノンボールには、わかりやすいポイント制と目的(=まり子とハメ放題)があるにしても、なぜこれほどオトコたちが頑張るのか、見ているだけではよくわからない。


「草食系男子」という単語があるほど穏やかで丸くなった現代男子たちに背を向けて、まるで彼らを急き立て鼓舞するように、5人のオトコたちは男性であることをカラダいっぱいで表現する。そこに漂う空気と馬鹿馬鹿しさは、いつか誰もが持っていた子供の頃の無邪気な楽しささえ呼び起こす。オトコたちが頑張る理由はただひとつ。「勝ちたい」のだ。どうしようもなく「負けたくない」のだ。それはどことなく、競争や衝突を避けて生きようとする現代男子たちへのアンチテーゼのようにすら感じられた。


AVという枠でなく、バラエティとして面白い映像作品だった。4時間という長丁場だが、これも『水曜どうでしょう』よろしく、飽きずに見ることができた。この裏場面を集めた『裏テレクラキャノンボール2009』もあるそうなので、いまから楽しみで仕方ない。きっとまた、深夜に一気に見てしまうのだろう。


余談。
バクシーシ山下の第4ステージは、何度見ても笑ってしまう。
「おにぎりでも食べる?」は間違いなく名言。あー。もう、面白すぎる。ここだけでも見る価値があるんじゃないか、ホント。